夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
早く大きくなりたい。
強く逞しくなって、自分の力でしっかりと生きたい。
そして、父さんのように……。
父さんのように、母さんを守りたかった。
「……母さん。
あんまり食べてないね?俺の味付け、美味しくなかった?」
出来上がった夕飯の膳を運んでくる際に、昼食の膳を下げようとすると……。母さんは昼食にほとんど手を付けていなかった。
いつもそう。
母さんは俺の作ったご飯をあまり食べてくれない。
父さんがご飯を作っていた頃は、残さず食べていたのに……。
どんなに一生懸命作っても、父さんの味付けに似せても……。母さんは食べてくれない。
「っ……ね?何が食べたい?
言ってくれたら食材集めてくるし、俺頑張って作るよ?」
父さんの代わりになれるなんて、思ってない。
俺はただ、母さんの笑顔が見たかった。