夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「何でも遠慮せずに言って?
俺、母さんが喜んでくれるなら何でもするからっ……」

望んでいる事は、たった一つだった。
自分の大切な人に、微笑っていてほしい。
この時の俺には、母さんが全てだったから……。


「ね?母さん。
何か言って……」

「っ……あんだが、リオの代わりになれる訳ないじゃないッ!!」

傍で話しかける俺を、ベッドで身体を起こしていた母さんが怒鳴りながら思いっきり突き飛ばした。

俺が尻餅を着いた衝撃で、持っていた膳が手から離れて……。ガシャーンッ!!!と、大きな音を立てて床に散らばる。


「なんで、あんたなのよ!
あんたなんか、生まなきゃよかった……!!」

「……」

尻餅を着いたまま顔を上げると、母さんは俺が今までに見た中で1番、悲しそうに泣いていた。

その姿が、痛いくらいに綺麗で……。
酷い事を言われたのに、俺には少しも怒りなんて湧かなかったんだ。
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