夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「どんな事があっても、俺だけは母さんから離れないよ?母さんの傍に居たいんだ。
俺の事嫌いでいいから、それだけ覚えてて?」
「……っ」
俺が瞳を合わせて微笑むと、母さんはすぐにベッドの中に潜り込むように背を向けてしまった。
「……夕食、食べてね」
散らばった昼食の膳を片付け終わると、俺は母さんの寝室から出て台所に戻った。
「!ッ……」
ゴミの分別をしていると割れた食器の破片が指に触れて、傷口から血が溢れてくる。
身体が傷付こうが、心が傷付こうが、もう涙は出なかった。
色んな職業を調べて、将来どんな仕事についたらお金持ちになれるか調べた。
学校に通っていなくても、俺のような容姿でも、実力があれば認めてもらえる職業。
ああ、そうだ。
俺はその時に”夢の配達人”を知って、将来は夢の配達人になりたい、って思ったっけ。
幼い俺が見付けた、将来の夢。
……でも。
この後の事件がキッカケで、俺はその事を忘れてしまうんだ。
……
…………。