夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
……。
いや、本当は……。
心の何処かでこの状況を理解しながらも、俺は信じたく……なかったんだ。
「……これは珍品ですよ。
しかも、奥さんに似て綺麗な顔立ちをしていて将来有望。女性客も欲しがるでしょう。
どんな子供も産んでおくものですね、奥さん」
”奥さん”……。
そう呼ばれた母さんが、奥の部屋から出てきて……。
「それで?その子、いくらで買って頂けるんですか?」
と、リーダーの男に尋ねた。
その言葉を聞いたら……。
固く握り締めていた拳から力が抜けて、俺の掌から母さんへのプレゼントの小さな包みが……。
ポトッと、床に落ちた。
「そうですね……。
これくらいで、いかがですか?」
そう言いながらリーダーの男が、大きな鞄から大量の札束をだして食卓のテーブルの上に積んだ。
それまでの生活では、見た事もない金額だった。