夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【シャルマ邸】

全部、全部思い出した。

記憶を失っても、唯一忘れなかった臭い。
あの日、俺の全てを奪い去った臭い。

俺達家族を壊した張本人、シャルマ。


「……まさか、生きてまた会えるとは思わなかった。
餓鬼の頃から変わらない、相変わらず生意気そうな面だな」

「それはこっちの台詞だ。
……よくもまた、俺の前にその姿を現せたもんだなッ」

心の底から湧いてくるような感情を必死に抑えながら、俺は伊達眼鏡とアイレンズとウィッグを外して投げ捨てると元の姿に戻った。


「回りくどいやり方しやがって……。
全部、あんたが黒幕だったんだろう?」

記憶が戻ったと同時に、俺には今まで胸につかえていた物が一気に解けていくのを感じた。

去年の長期任務、アランの事、そして今回アカリを連れ去ってまで仕組まれた任務。
全て、シャルマが企てた事だと……。
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