夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

去年の長期任務は、俺への挑戦状。
異母兄弟である俺とアランを競わせ、力量を図っていた。
そして、己の欲と利益の為に再び俺を使おうと……今回、アカリを人質にさらった。

シャルマは、また俺から大切な人を奪おうとしたんだ。


「……フフッ、何をそんなに怒っている。
私からしたら、むしろお礼を言ってほしいくらいだな」

「……なに?」

「ただの野良猫だったお前がその容姿を活かし、夢の配達人になり、ここまで成長した。
全てあの日、私がお前に生きる力(怒り)をやったからではないかね?」

「っ……!」

奥歯を噛み締め、睨むように見つめていた俺に、シャルマは笑いながら言った。

昔と何一つ変わらない。
父さんを奪い、母さんを傷付け、そして……。
俺達の新しい家族の命をその手で消しておきながら、何も悪びれた様子もない。
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