夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
あの日、あの出来事がなければ……。
例え貧乏生活でも、きっと俺達は幸せだったのにっ……。
「っ……それで?
今更、俺に何の用だよッ……」
目の前にいる敵を、本当はすぐにでも殺してやりたい気持ちでいっぱいだった。
……けど。
左手首に着けた、ターコイズのブレスレットを右手で握り締めて俺は堪える。
アカリと帰る。
その約束が、俺の心をなんとか抑えてくれていた。
「俺は、”品のない泥棒雌猫が産んだ、薄汚い雑種の子猫”……なんだろッ?
あんたには必要のない存在の筈だ。
それとも、また邪魔者は消すつもりかよッ?」
……。
俺は、知ってる。
父さんの死の真相が、全てシャルマの手によるものだと……。
アカリの召し使いの任務だった頃。
当然、アカリの婚約者の父親が亡くなったという情報は俺の耳にも入ってきた。