夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

それは、俺とミネアの写真。
数日前に一緒に居た際に、具合の悪くなった俺をミネアが抱き締めている写真だった。


「ミネア嬢はずいぶんと、お前を気に入っているそうじゃないか。
彼女と婚姻を結べば、未来は明るいぞ」

「……。
なるほど、父さんの事もっ……あんたはそうやって……ッ」

シャルマの言いたい事を一瞬で悟る。
自分の願望と欲の為に、息子だろうが孫だろうが……。家族でも売るシャルマ。


「アルバートの孫娘と、ミネア嬢。
どちらを選んだ方が特か、解るだろう?」

「……」

「アルバートの孫娘とは離縁してもらう。
もし拒めば、無理矢理お前の目の前から消えてもらうしか……ないな。」

そう言ってシャルマは、俺を見て笑った。
人を見下し、自分の力で何でも思い通りにしてきた人の瞳をして……。

……。
俺は今、昔の父さんと同じ状況に……いるんだね。
< 370 / 402 >

この作品をシェア

pagetop