夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
……。
ディアスさんは、港街の夢の配達人の隠れ家に私を送り届けるまでの道中で、自分が知るヴァロンの全てを話してくれた。
……もちろん、リオン様とアンナ様の事も。
ヴァロンが自らを責め、封じた過去。
大好きな両親を恨めなくて、嫌いになれなくて……。
自分のせいにする事で、彼は”仕方なかった”って必死に言い聞かせて生きてきたんだ。
”探してる本があるんだけどさ、なかなか見付からないんだよね。
……ま、タイトルも作者名も覚えてないから当たり前なんだけどさ。
そんな感じの文字だった事しか分かんなくて読み漁ってるって訳。”
いつだったかヴァロンが言ってた、本の事。
それは、きっとお父さんの書いた本。
記憶を失くしても、ずっと彼はあの日のまま……お父さんを待ち続けていたんだ。
言いつけを守って、人を憎まず、強く賢くなって、お金持ちになって……。
家族の為に、生きる道を歩んできた。