夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
生半可な嘘じゃなく、ヴァロンに嫌われる位の酷い嘘と演技をしよう。
そう、心に決めて冷たい言葉を吐き続ける。
「私ね、本当は毎日寂しかったの。
旦那様にはいつだって、毎日家に帰って来てほしかった。
仕事よりも私を見てくれて、家庭を顧みてくれる旦那様が良かった」
「……」
「生活には不自由ないし、お金があるからいいかな〜って最初は思ってたんだけど……。やっぱり無理。
私にはこれ以上、耐えられない」
「……」
「……私達、合わなかったんだよ。
だから、別れたい。もう、終わりにしたい」
「……」
胸が張り裂けそうな気持ちで言葉を紡ぐ私に、ヴァロンは何も言わなかった。
何も言わずに、私を見ていて……。
私が話すのをやめて沈黙の時間が流れると、静かに顔を背けるように俯いた。
泣いているようなその姿に、胸がズキッと痛んで……。
私の我慢も、もう限界に近付いてくる。