夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
笑ってお別れをしたい。
心の中で願いながら見つめていると、顔を上げたヴァロンが私を見て……。微笑んだ。
「そっか、良かった!」
いつもと変わらない、大好きな優しい笑顔。
ずっとずっと見ていたい笑顔でヴァロンは呟くように言うと、手に持っていた書類を机に置いて、自分の服の胸ポケットを漁ると掌を握り締めたまま私に差し出した。
「最後に、一つお願い聞いてくれる?」
そう言って開かれたヴァロンの掌の中には、夢の配達人の白金バッジ。
「俺の代わりに、返しておいてくれない?
俺はもう、あそこへは行けないからさ」
「……」
黙って見つめている私の手を取って、ヴァロンはそっと掌に白金バッジを手渡すと……。ギュッと大きな手で、その私の手を包むように握ってくれる。
「マスターとシュウに……。
”ありがとう。”って、伝えてほしい」
「っ……」
ヴァロンの手の温もりと切ない言葉に歪んだ表情を、私は隠すように俯いた。