夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

白金バッジ。
夢の配達人にとって最高位の証であり、命のようなもの……。

いつもヴァロンが何処に隠し持っているか、なんて誰にも分からなくて……。
シュウさんでさえ、ほとんど見た事がなければ触った事もない代物だと聞いた事があった。

そんな大切なものを私に託してくれる。
ヴァロンは今、一体どんな気持ちでいるんだろうか……。と、心が揺れた。


「……ディアス。
そこに、いるんだろ?」

ヴァロンが声を掛けると、私の護衛にここまで付いて来てくれていたディアスさんが、廊下から部屋へゆっくり入って来る。


「アカリの事を頼む。
無事に、港街まで送り届けてほしい」

「っ……はい。
命に代えても、お護り致します」

ディアスさんの言葉を聞いたヴァロンの手は、そっと私の手から離れて……。


「会いに来てくれて、ありがとう。
……。さっ、もう行きな」

大好きな手が、私の身体をディアスさんのほうに向けて……。
行けって促すようにトンッと優しく、私の背中を押した。
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