夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【3月3日/港街の自宅】

「おかえりなさい、アカリさん」

「私とレイが交代で見張りに付いてます。だから、今日はゆっくり休んで下さい」

ディアスさんに送られて自宅に帰宅した私を迎えてくれたのは、レナとレイ。

今日くらいは何も考えず休んだ方がいいと、ヒナタと猫リディアはホノカさんが預かってくれた。


大丈夫だよ！
そう言って、普通に振る舞おうとしたけど……。
今日だけは、お言葉に甘えた。

玄関から廊下を歩いて、リビングの方へ行って辺りを見渡す。
あの日の、連れ去られた日の事が嘘みたいに……。静かで片付いた、家の中。

何も変わらない。
この数週間の出来事は全て夢で…。私が台所で料理をしていたら、今夜ヴァロンが帰ってくるんじゃないかと思ってしまう程だ。


「っ……。
？……あれ？あれは、なに？」

目を伏せようとした私の瞳に映った、リビングのテーブルに置かれた一輪の赤いバラと……。
可愛くラッピングされた、小包み。
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