夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

寝室のベッドに座り、ゆっくりと小包を開けていく。
包装された紙の上から触った柔らかい感触と、そんなに重くない、クッションのような感覚。

ガサッと、包装紙から品物を取り出すと……。


「っ……可愛い」

見た瞬間に、言葉が漏れて……。
そして、ずっと堪えていた涙が静かに頬を伝った。

包装紙に包まれていたのは、猫のぬいぐるみ。

去年長期任務から帰ってきたヴァロンが、ヒナタにあげていた手作りの猫のぬいぐるみ。
良い年をして、拗ねて自分も欲しいと強請った私に……。作ると約束してくれた、ぬいぐるみだった。


”///……わりぃ。また、作るから。
アカリの事想いながら、あの猫より可愛いの……作るから。……許してくれよ、な?”

猫バロンを思い出させてくれる、手作りの三毛猫のぬいぐるみは……。
あの約束を決して裏切らない。
ヴァロンの深い愛を感じるには充分な、誕生日プレゼントだった。
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