夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
ぬいぐるみを抱き締めて、私は泣いた。
泣いて、泣いて、泣いて……。
涙が枯れてしまうのではないかと思う位に泣いて…。
……
………。
ようやく涙が止まったその夜に……。
手紙を読んだ。
自宅に帰宅する前に寄った夢の配達人の隠れ家で受け取った、手紙。
ヴァロンに託された白金バッジをマスターさんに手渡すと、それと引き換えるように渡された通帳と一通の手紙。
それが何を意味するのか解りながら……。
自分でこうなる道を選びながら、私の覚悟なんて本当に足りなかったと思う位の後悔が溢れた。
私とヒナタとユイちゃん。
ヴァロンが私達家族に遺してくれた想いの形。
手紙を読んでしまったら、ヴァロンとの別れを……。
夢でない現実なんだと思い知らされてしまうから、読まないつもりだった。
……。
でも、あの日私達を出逢わせてくれた猫バロンのぬいぐるみに励まされるように……。
私は、手紙を開いていた。
……
…………。