夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【お寺】

ヴァロンと泊まりで出掛けるなんて、結婚して以来初めての事だった。
二人で電車に乗って、着いた場所は有名なお寺がある観光地。

今は1月だから桜は咲いていないけど、春は桜の木が満開になり、秋には鮮やかな紅葉が溢れて人気のある観光地だ。


「時期が悪くてごめんな?寒くないか?」

そう言ってヴァロンは繋いでいた私の手を、自分のコートのポケットに入れて暖めてくれる。

寒い訳ない。
ヴァロンが一緒に居てくれるだけで、私はいつもポカポカだった。


「///…全然平気!
ここ、雑誌で見て一度来てみたかったの!」

確かに桜や紅葉の季節じゃないのは残念だけど、出店や催し物で辺りは賑わっていて充分楽しい。
何よりも、ヴァロンと一緒にデートならば場所なんてどこでも私は幸せだった。
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