夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「…私はね。前にも言ったけど、どんなヴァロンでも大好き。
出逢った頃も、召し使いの時も、今も…。
でもね、時々不安になるの……。」

ヴァロンは私の話を、聞いてくれた。
こんな事、せっかくの旅行先で話す事じゃないかも知れない。
二人きりの楽しい時間を裂いて、面倒臭い女かも知れない。

でも、偽りの笑顔を彼に見せたくなかった。


「……ごめんね、こんな事言って。
…ヴァロンを信じてない訳じゃ、ないの。
でも、私には…遠い人に思えて……。」

「今日、何人の男が振り返ったか知ってる?」

「!……。え…?」

私の言葉を遮ったヴァロンの質問に、ハッとして俯いていた顔を上げた。
そんな私を、ヴァロンは横目でじっと見ながら口を開く。


「アカリの事を見て、振り返った男の数。
港街で6人、電車で2人、ここにきてから……。」

「!……か、数えてたの///?!」

彼のまさかの発言に、私は驚いて声を上げる。
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