夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
あんなに恥ずかしかった筈なのに、濡れて揺れた様なヴァロンの瞳に見つめられて逸らせない。
いつもの射る様なヴァロンの強い眼差しにもときめくが、今日の穏やかな優しい瞳は胸が締め付けられる様に惹かれる。
///……キス、したいな。
思わずそう思って、そっと目を閉じた。
普段なら、言葉にしなくても彼は私の頬に優しく触れて口付けてくれる。
しかし…。
「……先に、上がるから。」
「!……え?」
「向こうむいてた方が、いいんじゃない?」
目を開けて耳を疑う私の頭をポンポンッと撫でて、ヴァロンは微笑みながらそう言った。
間違いなく自分の行動が生んだ展開だが、胸がズキッと痛む。
ショックで呆然としている私の顔を、ヴァロンは少しズラす様に横に向けると、ゆっくり背を向けて湯船から上がろうとした。