夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

ヴァロンの顔が見れなくて抱き付いたままでいると、彼が申し訳なさそうに苦笑いした声で話し続けた。


「……まあ、ね。
そりゃ、若い頃はちょっと…遊んでたけど…。
好きな子と付き合ったのも、デートしたのも、結婚したい、って思ったのもアカリが初めてだし…。
俺の夢を叶えられるのは、アカリだけだよ。」

「///っ……。」

最後の言葉と同時に強く力を込められて抱き締められると、私の鼓動は暖かく跳ねて、胸の痛みを治めてくれるのを感じる。

……。

二人きりの静かな空間に癒されていると、ヴァロンがポツリと呟いた。


「…この広い世界で、限られた時間の中で、そう想える人と出逢えた。
ありきたりな言葉だけど、これってやっぱ奇跡なんだよな。」

”奇跡”。
その言葉に、私はゆっくりと身体を少し離してヴァロンを見た。


その言葉が…。
私には少しおかしいって、違和感を感じたの。

人の夢を自分の手で叶えるヴァロンらしくない、言葉だと…。思った。
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