夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
なのに、さっき俺は情けないくらいに取り乱してアカリに感情をぶつけた。
取り乱して、怒鳴って、ただ感情的にアカリを抱こうとした。
……。
自分がこんなに女々しいと思わなかった。
ホノカさんに伝えられた時は、実感が湧かなくて…。このまま平気で居られると思った。
……。
けど、今は…。
”奇跡”って言葉が本当にあるんなら、それにすがりたいと思う程、怯えてる。
再検査の日が近付く度に、恐怖が増して…。
必死に楽しい事や幸せな事を考えていないと、忙しく仕事をして気を紛らわさないと、壊れてしまいそうだった。
「……。
奇跡なんて言葉で、終わらせないで?」
冷静を装いながら抱き締めていた俺に、アカリが少し身体を離して言った。
「少なくとも、今私がヴァロンと一緒に居る事は…。奇跡なんかじゃない。
私自身が、ヴァロンといたいからだよ?」
その言葉に、景色を見るようにそっぽを向いていた視線を俺はアカリに移した。