夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

12月24日。
世間はクリスマスイブ。
そんなもの祝った事も、嬉しいと思わなかった私が…。少しずつ変わっていた。

昨夜から陣痛がずっと続いていて、なかなか産まれない我が子。
苦しくて、辛くて…。
きっと以前の私なら、”なぜ私がこんな痛い思いをしなくてはいけないの!”とこの子を恨んでいた。
そもそも、親の愛情を知らない私が母親になろうなんて考えもしなかった。

…けど。
陣痛で苦しむ間、ずっとずっと手を握って励ましてくれた愛おしい彼。
この人の為なら、この人との子供なら、愛せると思ったの。

……。

でも…。
やっと聴けた産声にホッとしたのも束の間。
取り上げた助産師さんが、私の産んだ赤ちゃんを見て、驚きのあまり言葉を失っていた。

この地方では見ない、色素の薄い白金色の髪と瞳。
母親の私は黒髪に黒い瞳。
父親の彼は、黒髪に近い灰色の髪と瞳。
普通、二人の間にこんな子は産まれない。
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