夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「それにしても、ユイさんはすごいですね!」
「そうそう。まだ若いのに赤ちゃんの世話をあんなにテキパキ熟せるなんて、尊敬しちゃいますよ!」
洗い場で食器を片付けながら、二人は私の視線に気付いて話し掛けてくれる。
今年に入ってこの港街に正式に住む事になった私には、まだお友達と呼べる人はアカリさんしかいなくて…。
だから、初めは二人と過ごす時間に少し不安を感じていたけど、今はとっても嬉しくて楽しい。
「私の両親がやっている診療所で産まれた赤ちゃんの面倒を、よくみてたんです。
小さい島ですし、助け合うのが当たり前だったんでしょっ中子供の遊び相手をしたり…。」
ついこの間まで当たり前だった生活を懐かしく思い出しながら、私は話した。
私がヴァロンさんとリディア母さんの娘だって事は、一部の人しか知らない。
当時の事を深く知らない人に広まれば絶対に大混乱になってしまう、と。夢の配達人のマスターさんとシュウさんと話し合って、隠し通す事に決めた。