夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
だから表向きは、私はマスターさんの古い友人の娘。つまり、診療所の先生達がマスターさんの友人って繋がりで、社会勉強の為に島を出た私を預かってくれている事になっている。
「私からしたら、お二人の方がすごいです!
人々の望みを叶える夢の配達人を守る、素敵なお仕事ですね。」
夢の配達人を守る。
それはつまり、ヴァロンさんを守る事に繋がる仕事。今の私には、一番と言っていいくらいに羨ましい職業だった。
目を輝かせる私に、二人は顔を見合わせて微笑むとゆっくりと話してくれた。
なぜ自分達が調査員になったのかを…。
「私達が8歳の時に、住んでいた町で大きな爆発事故があったんです。
私とレイは幸い無傷だったですが、私達を逃がそうとしてくれた両親は…。瓦礫の下敷きになってしまったんです。」
「ボク等は必死で、町中を走り回って助けを求めました。
……けど、誰も助けてくれなかった。
救助は、お金持ちや力のある人達が優先で…。
庶民は後回しだったんです。」
それは悲しい現実。