夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

身分差が激しい地方では、当然のように行われる事。
どんなに軽傷でも、金や力のある者だけが生き残れる世界。


「何も出来なくて、”誰か助けて!”って泣き叫んでたら…。その時に駆けつけてくれたのが、ヴァロン様とシュウ様だったんです。」

「崩れた瓦礫をヴァロン様が退かしてくれて、下敷きになっていた両親をシュウ様が助け出してくれました。
……すでに、亡くなってたんですけどね。」

「……。」

その過去の話に相槌も打てず、ただ黙って話を聞いている私に二人は微笑んでくれた。


そしてその後。
両親の亡骸にしがみ付いて泣いている間、ヴァロンさんがずっと側に居てくれたのだと…。
何も言わず、ただ側に居てくれたその存在がどれほど自分達の励みになったか、話してくれた。

しかし、事故の翌日。
親を失くした二人を待っていたのは、別々の元へ引き取られるという宣告。
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