夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
レナさんを引き取ると言った人を始めとする周囲を説得して、二人を隠れ家に連れ帰り、働けるようになるまで養ってくれたそうだ。
「…それだけじゃない。
この港街にお父さんとお母さんのお墓まで建ててくれて、私達家族を引き離さないでくれた。」
「”ここに来れば、いつでも会える。”って…。
当時のヴァロン様は無愛想で無口だったけど、とても…暖かくて優しかった。」
後片付けを終えた二人は、テーブルを挟んで私の正面に座るとそっくりな表情で微笑む。
「…だから、私達は必ずヴァロン様を守ります。ヴァロン様が大切だと想うものも、全部。」
「アカリさんが来てくれて、ヒナタちゃんが産まれて…。やっと、今ヴァロン様は本当に幸せなんです。
今度はボク等が、ヴァロン様の家族を守らなきゃ。」
二人の言葉を聞いて、私も自然と微笑んでいた。
リディア母さん。
ヴァロンさんは優しい人達に囲まれて、今幸せに生きてるよ、って…。
心の中で語りかけながら。