夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

ヴァロンは前回の任務でアラン様との約束は果たした。今回の依頼を蹴ったところで恨みを買おうが、それは相手側の逆恨み。
夢の配達人として何の処罰も問題もない。

しかし…。


「…ヴァロンが会社から抜けた途端、この損害ですからね。
アラン様も焦っているのでしょうか…。」

そう言ってシュウが見つめるのは、テーブルの上にある新聞。
アラン様の会社について載っていた。

ヴァロンが”マオ”の際に契約を結んだ会社が、次々と手を引いていく。
ヴァロンのやり方とは全く違うアラン様の方針には、ついていけないのだろう。


誰にも真似出来る訳がない。
ヴァロンの人を惹きつける魅力は、生まれ持ったあやつ自身の力。
本人でさえ、その力を使おうとして動いている訳ではないのだから。

己の事よりも、相手にとっての最善の道を選ぶ美しい心。
並の人間が、簡単にそうなれる筈ない。
誰だって、自分が1番可愛いのだから…。
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