夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
アラン様が過去の事や血縁関係を理由にして強請ってくる前に、ワシ等がヴァロンに冷静に話してやれば…。あやつなりに最善の道を自ら見付けられるかも知れん。
……ただ。
勿論、その結果ヴァロンが選ぶ道がまたあやつを孤独に追い込む可能性は、ある。
「!…アラン様が何か仕掛けてくる前に、先手を打つって事ですか?
っ…しかし!それで、ヴァロンの記憶が戻って、もしっ…人を殺めた過去が、真実だったら……。」
「……あやつは間違いなく、選ぶじゃろうな。
家族や周りが被害を受けない、1番の道を…。」
もしも、殺人が事実ならば…。
ヴァロンは仕事も、家族も失う事になる。
今のあやつを支えている全てを、失う。
それだけは避けてやらねばなるまい。
”ジジイ、お願いがあるんだ。
これから俺の報酬はさ、こっちに貯めてくれよ!”
長期任務を終え、アカリさん達とこの港街に帰ってきて最初にヴァロンに会った時。
そう言って、ワシに差し出してきたのは二つの貯金の口座。