夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

【高級旅館/中庭】

「わぁ〜！綺麗！」

俺の隣で星空を見上げたアカリが嬉しそうに微笑む。

夕食後。
アカリと一緒に浴衣姿で旅館の敷地内を散歩。
さっき浴衣に着替えた俺の姿を見た彼女の目は、分かりやすいくらいキラキラ輝いてて…。”浴衣デートしたい！”って顔に書いてあった。

夜は冷えるから遠出は出来ないけど、少し歩こうと散歩に誘ったらすごく喜んで…。
全く、とても子持ちの主婦には見えない。
無邪気で、いつまで経っても少女のようなアカリ。


「流れ星、見えるかもな。」

「！…見たい見たい！
絶対に、ヴァロンと一緒に見たい！」

俺と一緒に見たい。
そう言って一生懸命、星空を見上げて流れ星を探す彼女の横顔がとても綺麗だった。

……。

アカリが子供を…。
もう一人子供を欲しがってる事なんて、俺は気付きもしなかった。