クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!~夏は別れの危機?!~
そうだ…。
あの頃のこうちゃんは、もっと大人しくて本が大好きな人だった。
その頃に比べたら随分喋るようになったし、明るくなったのかも。
「私も、楽しかったよっ!」
「っっ……」
ん?
「こうちゃん?」
こうちゃんが突然、バッと不自然に目をそらすので顔を伺おうとする。
「そういう無自覚なところ、昔から変わらないんだね、沙良」
「えっ…?」
「ううん。なんでもない。ただいま沙良」
っ?!
こうちゃんは私の耳元で優しく囁くと、ギュッと私を抱きしめた。
「うわっ」
「それで沙良…彼とはどこまでいったの?」
っ?!
「ど、どこまでって…」
体を離して聞いてきたこうちゃんに、私は顔を真っ赤にしたまま目をそらす。
なんでそんなこと…聞くの…。
恥ずかしくて全然顔の熱が冷めない。
「フフッ、冗談だよ。からかっただけ」
「へ…」
こうちゃんは私の頭に手をポンと乗せると、爽やかな笑顔を向けて、案内した部屋に入っていった。