クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!~夏は別れの危機?!~
「あー!黒川やっときた!もう姫野さんがすごい寂しそうな顔してたよ」
水田と別荘に帰ってくると、塚本が俺を1番にみてそう言った。
俺と沙良の状況を知らない塚本は「ね?」と笑顔で沙良に顔を向けた。
「へ?!あ、…えっと…」
泣いて俺の部屋から出て行った沙良は、気まずそうに口ごもる。
「なに?沙良、顔色悪いよ。なんかあった?」
沙良の隣に座っていた藤枝が彼女の肩に手を回してそういう。
昼間よりも、こいつに対しての怒りは随分収まってる。
ムカつくのに変わりはないけど。
「沙良、こいつの前でちゃんと言ってよ」
「へ?」
俺の声に、そこにいたみんなが目線を俺に向ける。
沙良がどんなに俺に気持ちを伝えても、俺がどんなに沙良に気持ちを伝えても。
ちゃんと、周りにまで伝えなきゃ意味がないんだ。
周りの人間にも、ちゃんとわかってもらって、理解してもらって、協力してもらって、
初めてちゃんと、深め合えるものだと思うから。