【完】DROP(ドロップ)



「……雫!?」

「え?」

「もー、何ボーっとしてるのよー」

「あぁ、ごめんごめん」



雑誌を見ながらキャーキャー騒ぐ菜摘を見ながら考えていたあたしは、菜摘に呼ばれていたのにも気付かなかったらしい。



「仕方ないわねぇ。まぁ、圭矢君みたいな人には雫じゃ物足りなかったんだよ」

「へ?」

「これから輝く未来を持つ人なんだよ! そんな人と私達は別世界なのよっ」



……別世界、ねぇ。



またしても菜摘に言いにくくなってしまった気がする。

キラキラ輝く空を見上げるかのように語る菜摘は、あたしの話をまともに聞けそうにもないし。



はぁー。



それを見ながら、大きな溜息だけが出てしまった。




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