【完】DROP(ドロップ)



あたしじゃ物足りなかった。



圭矢は、そう思うようになるのかな。


もしかしたら、今。
もう、そう思ってる?



輝く未来……別世界。



ねぇ、圭矢。
そんな遠くへ行っちゃうの?

あたしが頑張って。
いっぱいいっぱい頑張っても届かないところへ行っちゃうの?



考えれば考えるほど不安になって。

考えないでおこうとすればするほど考えて。

悩みたくないのに悩んで。

圭矢から、そんな話をされたわけじゃない。

そんな事を言われたわけじゃない。



だけど、圭矢が忙しくなるのを隣で見ているだけのあたしだから。



『撮影の仕事があるから会えない』

『打ち合わせが入ったらからごめん』



そんなセリフは、もう聞きたくないよ。

それでなくても圭矢と、あたしの間には、まだまだ縮まらない距離があるのに。



それが、どんどん広がってる気がしちゃうんだよ。




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