【完】DROP(ドロップ)



「あ、お待たせ!」



日曜日、駅前から少し離れた場所。


キャップを深く被った圭矢に声をかけた。



「久しぶりっ」



あたしを見下ろして、優しく笑った圭矢の笑顔を見るのは、いつぶりかな。



休みの日は、レポートや寝不足とかで全然会えなかった。

凄く寂しかったけど、圭矢がモデルを頑張ってるのを知ってるから何も言えなかったんだ。



だけど、今日は初めて圭矢から誘ってくれたデート!!!



昨日の夜、電話があった事もすっごく嬉しかったのに、デートまで出来るなんて……

嬉しすぎて、ほとんど寝てないくらい。




「ねぇ、雫さ。携帯って変える気ない?」



歩き出して少しした頃、圭矢が突然言い出した。



「携帯? 新しいのに変えたいんだけど、お小遣いじゃ難しいし」



そう、あたしの携帯は今じゃ店頭には置いていない古ーい機種。

電波も悪いし、充電だってすぐなくなっちゃう。



だけど、携帯と服。



ってなると、すぐ服が欲しい! ってなっちゃってずっとこの携帯。





< 102 / 374 >

この作品をシェア

pagetop