【完】DROP(ドロップ)


「ねぇ、雫。カラオケ行かない?」

「あ、行くっ!」



カフェから先に出た圭矢が、後から出て来たあたしを待つ様に振り返りニッコリ笑って言ってくれた。

カラオケなら、さっきみたいな事を聞かなくて済む。

他人の目を気にする事だってないし。


なにより、2人でゆっくり出来る!


歌の合間に話だって出来るしね。

近くのカラオケ店に入り、ジュースを頼んだ。



有線がかかる部屋には、他の部屋から漏れた歌い声が聞こえてくる。



「雫、歌わないの?」



不思議そうな顔をしながら、キョクNAVIを差し出した。



「あ、ありがとう。でもー、ジュースが来てからにするねっ」



カラオケに来て、歌ってる途中に店員さんがジュースを運んで来た時程、気まずいものはない。


菜摘は、いつも

『そう?』

なんて言って大声で恥ずかしげもなく歌っているけど。

どうも、あたしはそれが苦手で無理。




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