【完】DROP(ドロップ)



そして、それを見るあたしに決まって

『芸能人になった人を好きだっただけでも幸せよっ!』

そう言うんだ。



もう菜摘には、圭矢と付き合ってるだなんて言えない。

言いたくても言えない位、圭矢は有名になってしまったから。

あの時、圭矢がまだモデルになった頃。

菜摘に言ってしまえていれば、もっと楽だったのかな?



こんなに苦しくて哀しくて……



どうにも出来ない想いを吐き出せたのかな。


吐き出せたら、あたしのこの想いは少しは楽になれるのかな。


相手がわからない、大きな大きな何かに押しつぶされそうなこの気持ち。



これは何なんだろう。




< 115 / 374 >

この作品をシェア

pagetop