【完】DROP(ドロップ)
彼氏の一人暮らしの家に遊びに行く。
そんな普通ならドキドキする様な事も、あたし達の間にはなかった。
そこへ行かなきゃ、圭矢に会える時間がないから。
だから、あたしは圭矢に早く会いたくて。
少しでも一緒にいる時間を増やしたくて、原付の免許を取ったんだ。
少しずつ覚えた家事は、圭矢の為になった。
『ありがと』
そんな事を言ってもらえるのが嬉しくて、料理だって必死になって覚えた。
今じゃ、洗濯だって、掃除だって、家事といわれるものは一通り出来る様になったんだ。
仕事の合間に帰って来る家で、圭矢は寝てる事が多かったけど。
それでも一緒にいれると、あたしは“彼女”なんだって思えたし。
それだけで“幸せ”って思えた。