【完】DROP(ドロップ)
「雫が拾ってくれるでしょ?」
なーんて振り返りながら悪戯な笑顔を向けられて……うん!
って思ってるあたしって。
頬をピンクに染めたあたしを見て、目を細めて笑う。
こんな笑顔を生で、しかもあたしだけに見せてくれるだなんて!
あたしって、すっごく幸せ!
そんな笑顔の余韻に浸る私の耳に届く、気持ちの良い寝息。
あ……余韻に浸ってる間に寝ちゃてるよ。
この気持ちの良い寝息の時は、絶対起きない。
フッと自然に零れた笑みを両手で隠しながら、さっき拾った洗濯物を洗濯機へと入れた。
静かに音を立てないように片付けて、気付けばあれから3時間。
いつも、こんな感じで時間は流れてしまい、圭矢が仕事へ行く時間になってしまう。
だから未だ、何の発展もないあたし達。