【完】DROP(ドロップ)
「ごめ……」
「仕事ー? あ、ドラマとか言ってたけど決まったの?」
圭矢の言葉に被せるかのように、明るく話す。
一瞬躊躇った圭矢は、
「……うん。有名な脚本家のドラマの主役が降板したんだって」
「えー凄いじゃん! 頑張ってね、圭矢!」
頑張って、圭矢。
あたしは応援してるよ。
なのに、どうして……そんな哀しい寂しい目で笑うの?
圭矢は、頑張って来たじゃない。
モデルになる時だって、いつもなら買わない雑誌まで買って見てたの知ってる。
CM決まった時だって、練習いっぱいしてたよね。
歌手デビューだってそう。
ちょっとでも喉に良い物を選んでたじゃん。
今回のドラマだって……隠してるけど台本ボロボロなの知ってるよ?
だから次のドラマが決まって嬉しいよね?
それなのに……。