【完】DROP(ドロップ)
コンサートまで、リハーサルとかで忙しい圭矢とは会えなくて。
でも、たまーに来るメールがすっごく嬉しくて。
それに、コンサートもある。
圭矢には内緒だけど、遠くからでもいい。
ずっと見つめれるんだから。
圭矢の生の歌声が聞けるんだから。
あたしは、ワクワクしていたんだ。
なのに、今放送中のドラマ。
最終回にキスシーンがあるって聞いてはいた。
その最終回の放送を観て……コンサートを楽しみに待っていただけの時間は簡単に崩れちゃった。
画面の中で、見た事も無い様な笑顔は、楽しそうで優しくて。
絶対言わない様な台詞もスラスラ言っちゃって。
そして強引で慣れたキスー……。
あたしは、一度もしてもらった事なんてない。
ねぇ……圭矢。
あたしの存在って何?
都合のいいお手伝いさんかな?
綺麗な彼女が出来たら……あたしなんていらないのかな。