【完】DROP(ドロップ)
「だから……俺以外に居るんだって」
そんな事まで思っていたの?
あたしに他に誰かいるって。
振り返り、両手で圭矢の顔を掴んだ。
やっぱり圭矢の顔は、とても哀しそうで。
真っ直ぐに見つめるあたしから視線を下に向けて頬を赤らめた。
離さない両手に、観念したのかまた、圭矢が視線を上げ、絡まった視線。
「本当はすっごく嫌!
女優さんとの絡みだって、キスシーンだって。
泣いちゃうくらい嫌!
だけどね?
圭矢の仕事だもん。
仕方ないよね?
だから……我慢する。
ってか我慢してるの。
ただ……たまにでいいから、
こうして抱きしめて?
あたしが圭矢の1番なんだよ。って教えて?」