【完】DROP(ドロップ)
「あはっ、強いね……雫」
そう笑ったのは、いつもの圭矢だった。
一緒に笑いながら、肩に力が抜けた。
「じゃあ、2人で居る時は、ただの雫の彼氏だからね?」
「え……」
そう言って重なった唇。
触れるだけのキスを交わし、少しだけ離れた。
不意打ちのキスに真っ赤になった顔を見て
『可愛い』
そんな事を言われたら、もっと赤くなっちゃうよ。
「ねぇ、雫。“好き”って言って?」
「えっ?」
目を逸らしてしまった。
急に子犬みたいな顔を見せないでよ。
だって、可愛くて、かっこよくて……どうしていいかわからなかったんだもん。
「駄目?」
駄目なんかじゃない!
だけど……。
何度も何度も、絡んだ視線をまた逸らしてしまう。
少し膨れて真っ赤な顔で、
「……大好き」
って呟いた。
凄く嬉しそうな顔をして
『俺も』
その声が耳に届いた時には、また唇が重なっていたんだ。