【完】DROP(ドロップ)



「おはよーございます♪」



ホームで電車を待つ後ろから、声をかける。


振り返った圭矢君は、少し驚いた顔を見せながら、



「また……えっと」



って考えるから、ニッコリと笑って答えた。



「しずく! 雫です」

「あぁ、雫ね」



“雫”だって。

雫って呼んでくれたぁ。

一歩前進♪



久々に会えた圭矢君に、緊張気味のあたし。

だけど、中々会えないからこそ頑張らなきゃね。



「圭矢君! メアド教えてもらえませんか?」

「……」



あたしを見下ろしたまま、無言。


あれ?

聞こえなかったのかな?

もう一度、



「メアド教えてもらえますか?」



そう聞き直したあたし。


だけど、圭矢君の返事は期待していた『いいよ』なんかじゃなくて。




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