【完】DROP(ドロップ)
「圭矢が選んで……」
「うるさいよ、雫」
さっきよりも真っ赤になった顔が、あたしに近づき。
あたしを黙らせるかの様に唇を塞いだ。
でも、さっきまでのキスとは違って、唇の隙間から入ってきた舌に驚いた。
こんなキス初めてで。
どうやったらいいかなんて知らなくて。
圭矢に合わせる事しか出来なかった。
漏れる吐息に、
自分の声に、
恥ずかしくなったのに中々離してくれなくて。
「圭矢って……キス魔だったんだね」
やっと離れた唇から、漏れた言葉にあたしをギュッて力いっぱい抱きしめて
『今まで我慢してたからいいのっ』
って恥ずかしそうに答えてくれたんだ。
1回目のキスは、突然過ぎて訳がわからなくて。
2回目のキスは、予告したのに心臓が爆発しそうで。
3回目のキスは、あたしだけの圭矢の証拠で。
4回目のキスは、強引で……熱くなって。
5回目のキスは、大人になった気がしたんだ。