【完】DROP(ドロップ)



そして今日も、ドアを開けると嬉しそうな笑顔で立っている雫がいる。



それを見ただけで、さっきまでの今までの不安なんか一気に吹き飛んで。

俺は幸せな気持ちになれるんだ。



「あっ、雫」

「んっ? 何?」



洗濯物を畳んでた雫が笑顔で返事をする。



その顔にドキッとしてしまい、思ってた言葉が出て来なくなってしまった。

“雫に似合うと思って”

そう差し出すはずのグロスを、



「貰ったから……あげる」



なんて素っ気ない言い方をしてしまった。



なのに、それを見ながらすっごい嬉しそうに喜んでくれる姿が、可愛いと思った。

俺の事を、やっぱり

“好き”

って思ってくれているのかなって思ったから。



つい試したくなったんだ。

また忙しくて会えなくなるって。



そう言った俺に、その可愛い笑顔で

“頑張ってね”



応援してくれるのも、雫の笑った顔を見れるのも、嬉しい。



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