【完】DROP(ドロップ)
「だって……雫、電話もして来ないし、メールも最低限の内容以外しないだろ?」
「え……? それは、圭矢、仕事だからね?」
「昔は、しつこい位に、連絡してきてたじゃん」
一瞬動いた雫の動きが止まった。
何、小さな事にこだわってんだろう。
たかが、電話やメールくらいで。
「俺が、どんなドラマとかCMとかしてても何も言わないでしょ?」
「しっ仕事だし……」
「だから……俺以外に居るんだって」
そう言った後の沈黙。
本当にかっこ悪くて……
何言ってるんだろう。
聞いてから、言ってから後悔した。
さっき“好き”って言葉を聞いたんだから、それで止めておけば良かった。
俯いた俺の顔を、ガシッと顔を両手で掴みあげられた顔。
驚きと、逸らされない真っ直ぐな目で、真っ赤になった俺。
目線を下に向け俯こうとするのに、どこにそんな力があるのか。
力強く掴まれた顔を掴んだ手は離して貰えなかった。
仕方なく、雫の目を見直したんだ。