【完】DROP(ドロップ)
また、グッと手に力が入ったと思ったら、
「本当はすっごく嫌!
女優さんとの絡みだって、キスシーンだって。
泣いちゃうくらい嫌!
だけどね?
圭矢の仕事だもん。
仕方ないよね?
だから……我慢する。
ってか我慢してるの。
ただ……たまにでいいから、
こうして抱きしめて?
私が圭矢の1番なんだよ。って教えて?」
潤んだ瞳で、精一杯の気持ちをぶつけてきてくれた。
本当に。
ねぇ、本当?
嫌だった。
泣いてた。
我慢してた。
それを全部……俺に隠してただけなの?
抱きしめて欲しいって思ってたの?
何だか、そんな想いをさせてた事が急に哀しくなった。
俺が仕事を続ける事で、雫は辛いんだよね?