【完】DROP(ドロップ)
第9話【真っ白な世界】
――ピッンポーン♪
軽やかなチャイムの音。
少し待つと、ドアを開ける音がして、開いたドアから眠そうに目を擦る圭矢が現れた。
「お、おはよ」
「おはよー……ってどうしたの? こんな朝早くから」
「あ、ごめん。寝てたよね! ごめんね」
「んー」
「夜中に明日オフってメール来てたから、つい……」
「あー、したね、メール」
え。
メールしたのも覚えてなかった!?
そりゃそうだよね。
メールがあったのが4時過ぎで、あたしは夢の中だったけど。
圭矢は、それから寝てるんだもん。
普通は、そうだよね。
なのに、あたしってば朝9時から押しかけて来ちゃって、すっごく迷惑じゃない?
「ごめんね」
玄関先で、やっぱり眠そうな圭矢を見上げて謝った。
「別にいいよ。取り敢えず、中入って」
パタンー……と閉まったドアの鍵を閉めて、先にリビングへと戻る圭矢の後をしょんぼりして歩いた。