【完】DROP(ドロップ)



実はこの間以来なんだよね、会うの。

何か今更、緊張してきたよ。



どうしよう。



でも落ち着かないのは、あたしだけだったみたい。



圭矢は、さっきまで寝ていたベットに寝転びながら、テレビをつけリモコンでチャンネルをコロコロと変え始めた。


この間のって、圭矢からすれば……こんなもんなんだ。

テレビを観る圭矢の後姿を眺めながら、小さく溜息が漏れた。



目線をテレビへと戻すと、政治家同士の派閥問題。

見た事もない様な人が記者に追いかけられながら車に乗り込んで行くところだった。



それを真剣に観る圭矢。

へー、圭矢ってこんなのもちゃんと観てるんだ。


あたしだったら、すぐにチャンネル変えちゃうなぁー。



あ、この政治家は知ってる!


たまたま後に映っていただけの政治家なんだけどね。



「ねぇ、圭矢。この人ってよくテレビに出てるよね?」



あたしが聞いた言葉に、5秒くらい遅れてから



「え?」



マヌケな声を出しながら振り返った。




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