【完】DROP(ドロップ)
シーツに顔を隠したままの圭矢に、
「鍵なら、あたし持ってるじゃん。閉めて帰るから大丈夫だよ」
一応、鍵は引越した時に預かったのがある。
マンションはセキュリティーが厳しくて、エントランスは暗証番号。
エレベーターも鍵が認証しなければ動かない。
ドアも暗証番号と鍵が必要。
だから、合鍵なんて嬉しいものじゃなく、圭矢の部屋に入る為に必要な物。
「じゃあ、帰るからゆっくり寝てね」
多分、躓いたなんて鈍臭くて恥ずかしいって思ってるんだろうなって思ったから、そのまま帰る事にした。
あたしならよくある事だけど、圭矢がこんな風に躓くなんて見るのは初めてかもしれない。
そうれな尚更だよね。
そう思って立ち上がったのに。
急に手首を掴まれ、後へと引っ張られてしまった。
「きゃっ……」
倒れるっ!
目を硬く瞑った。