【完】DROP(ドロップ)



だけど次に目を開いた時には、何故か真っ白なシーツが一面に広がっていた。



痛いはずのお尻も、全然痛くなくて。

腰に回っている圭矢の腕。

背中には、優しい体温を感じた。



「え……」

「何もわかってない」



あたしの声と重なる。



え、え、え、どういう意味?

状況が上手く理解出来ない上に、この体勢事態もハッキリわからない。



ただ、わかるのは圭矢の膝の上に乗ってる、あたしのお尻と。

腰に回った手と、背中にあたる体温。



ギュッと力が入った腕で、あたしの背中はもっと圭矢と近くなった。



「け、圭矢ぃ?」



どんどん速くなる胸のドキドキ。

どんどん赤くなるあたしの頬。



どんどん……どんどん。



「俺、帰って欲しいなんて言ってないけど」

「えっ」

「帰りたいの?」



そう聞かれ首を左右に振るだけのあたし。
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